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受験勉強中

ブラウン運動(ウィーナー過程)と確率空間のイラスト

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ブラウン運動 - Wikipedia

ブラウン運動は,微粒子のランダムな運動の観測から発見された現象です。物理学,金融工学など広い分野で応用されています。

今回はブラウン運動を確率論的に捉えるための準備として,ウィーナー過程についてメモがてら書きたいと思います。イラストを描きながら理解していきたい。

なお,まだまだ勉強中なのでおかしなところがあればツッコミをお願いします🙏

§ ウィーナー過程とは

ウィーナー過程というのはブラウン運動数理モデルです。

数学におけるウィーナー過程(ウィーナーかてい、Wiener process)は、ノーバート・ウィーナーの名にちなんだ連続時間確率過程である。ウィーナー過程はブラウン運動数理モデルであると考えられ、しばしばウィーナー過程自身をブラウン運動と呼ぶ。

引用元:ウィーナー過程 - Wikipedia

§ ウィーナー空間

まず確率空間・確率過程・実現値の関係についての説明を書く前に,全体像のイラストを載せておきます。

▼確率空間・確率過程・実現値の関係*1

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ウィーナー空間とは確率空間の一種です。

なお簡単のため1次元のブラウン運動d = 1)を考えることにして,次元をあらわす文字 d は省略します。

経路空間の定義: {\bf W}{\bf T}\lbrack 0, \infty ) または \lbrack 0, T \rbrack)上の {\bf R}-値連続関数の全体とし,{\bf W} のσ-加法族を \mathcal{B}({\bf W}) とする(このとき ({\bf W}, \mathcal{B}({\bf W})) は可測空間をなす)。
確率測度の導入: ウィーナー測度 P *2を持つ確率空間 ({\bf W}, \mathcal{B}({\bf W}), P)ウィーナー空間と呼ぶ。ウィーナー空間上の可測関数をウィーナー汎関数と呼ぶ。

ここではウィーナー測度 P が満たすべき性質は省略していますが,確率測度ならなんでも良いわけではなく特別な定義*3があります。そのことと同値な定義を以下に与えます。

ブラウン運動の性質: ({\bf W}, \mathcal{B}({\bf W})) 上の確率分布がウィーナー測度である連続確率過程をブラウン運動と呼ぶ。このことと,({\bf W}, \mathcal{B}({\bf W})) 上の連続確率過程 B = \lbrace B_{t}; t \in {\bf T} \rbrace が以下の性質をみたすことは同値である:
(1) B_{0} = 0
(2) 定常増分かつ独立増分を持つ
(3) 各 t > 0 に対し,B_{t} ~ N(0, t)
ウィーナー空間の見本過程*4
W = \lbrace W_{t}, t \in {\bf T} \rbrace (W_{t}: {\bf W} \ni w \mapsto w(t) \in {\bf R})
ブラウン運動である。

ちなみに,ここで {\bf W} がなすヒルベルト空間 L^{2} は,部分空間としてカメロン-マルチン空間というものを持っていて,ここで実現値からフーリエ展開によってウィーナー測度を得ることができるらしいんですが,計算が非常にややこしいため省略します😱

§ 弱義確率過程と可測確率過程

一般に確率過程は,時系列に並んだ確率変数の系として表されます。よってウィーナー過程の場合は,ウィーナー汎関数の系がウィーナー過程となります。

▼ウィーナー汎関数の系

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ウィーナー汎関数のはたらきを考える前に,確率過程に対してより強い定義を与えておきます。

単なる確率変数の系(つまり可測関数 X:\Omega \rightarrow {\bf R}の関数列 \lbrace X_{t}; t \in {\bf T} \rbrace)は弱義確率過程と呼ばれ,見本過程の解析には不十分です。よって以下の確率過程を考えます。

確率空間上に定義される写像
X:{\bf T} \times \Omega \ni (t, \omega) \longmapsto X_{t}(\omega) \in {\bf R}
が可測であるとき,X = (X_{t}(\omega))可測確率過程という*5。また X と同値な弱義確率過程が存在するとき X を弱義確率過程の可測変形という。

ここでウィーナー過程を可測確率過程と捉えてウィーナー汎関数のはたらきを図示すると,以下のようになります。ウィーナー汎関数が実数値関数 w を引数に取って実現値を返すような形です。

▼ウィーナー汎関数のはたらき

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§ まとめ

今回はウィーナー空間の構造についてまとめました。到達時間分布やマルチンゲール性など確率過程の性質についても追ってまとめていきたいと思います!

§ 参考文献

*1:簡単のため離散過程っぽく書いていますが,ウィーナー過程は連続確率過程です

*2:初期分布 \mu を明示すると P_{\mu} となります。また初期分布が出発点を x とするディラック測度 \delta_{x} であるとき P_{x} となります。今回は簡単のため原点から出発するものとし,下付き文字を省略しています。

*3:Wiener measure and Brownian motion などを参照ください

*4:個々の時間の関数 {\bf T} \ni t \mapsto X_{t} を見本関数と呼び,その系が見本過程です

*5:確率過程を構成する個々の時間の関数 w を確率的に取ってくるイメージでしょうか…